ポジションを自分で閉じる — 強制決済を待つと価格を選べない

出金より先に片付けるのがポジションです。証拠金として拘束されている分は出金できず、8月26日以降は縮小しかできません。最終的にはBitMEX側が強制決済しますが、そのとき価格を選ぶのはあなたではありません。このページは、その前に自分で閉じるための手順と執行の考え方をまとめたものです。

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実質的な締め切り

2026年8月26日 04:00 UTC(日本時間13:00)。ここまでが「自分の判断で建玉を開いたり閉じたりできる」期間です。それ以降は縮小のみ、そして強制決済。出金の期限は9月23日ですが、ポジションの期限は8月26日だと考えてください。

「決済のみ」モードで実際に何が変わるのか

公式発表では、2026年8月26日 04:00 UTCからリスクリミットが適用され、利用者は既存ポジションを縮小することしかできなくなるとされています。同時にBitMEX側が、秩序ある市場の収束のために既存ポジションの強制決済を開始します。

これが実務上どう効くかを整理すると、次のようになります。

8月26日を挟んで何ができるか
やりたいこと8/26より前8/26以降
新しく建玉を開く可能不可
既存建玉を一部決済する可能可能
既存建玉を全部決済する可能可能
建玉を増やす(同方向に追加)可能不可
反対売買でヘッジを組む可能不可(新規建玉に当たる)
銘柄を乗り換える可能不可
端数を他通貨へまとめる可能不可

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見落としやすい制約

「縮小のみ」は、反対方向のポジションを新規に建てることもできないという意味です。つまり8月26日以降、ヘッジで価格変動を抑えながら時間をかけて処理する、という選択肢が消えます。値動きが不利な方向に出たとき、できるのは損失を確定させて閉じることだけです。この制約が、8月26日を実質的な締め切りにしています。

また端数の整理も同じ理由で8月26日までです。最低出金額を下回る通貨をまとめる操作は取引に当たるため、決済のみモードでは実行できません。ポジションを閉じたのに、残った端数が出金できず口座に取り残されるという事故は、この期限を知らなかった人に集中します。

閉じる順序 — どのポジションから手をつけるか

複数の建玉を持っている場合、順序を決めずに片端から閉じると余計な損失が出ます。優先順位の基準は「損益」ではなく「放置したときの危険度」です。

  1. 第1優先:証拠金維持率に余裕がないポジション ロスカット価格に近いものから処理します。閉鎖に向けて流動性が落ちると価格の振れ幅は広がるため、平常時なら耐えられた変動でロスカットされる可能性が上がります。含み損を確定させるのは心理的に難しいですが、ここで先延ばしすると選択権を失います。
  2. 第2優先:レバレッジの高いポジション 倍率が高いほど、同じ値動きに対する証拠金の減り方が速くなります。維持率に今は余裕があっても、余裕が消えるまでの時間が短いという意味です。
  3. 第3優先:数量が大きいポジション 板が厚いうちに処理したほうがスリッページが小さくなります。大口は後回しにするほど不利になる典型です。分割執行の余地も、参加者がいる時期のほうが大きいです。
  4. 第4優先:少額・低倍率のポジション 放置しても致命傷になりにくいものは最後でかまいません。ただし忘れないこと。強制決済されると、その分の証拠金が戻るタイミングをこちらで管理できなくなります。
  5. 最後:サブアカウントの確認 メイン口座の建玉をゼロにしたあと、必ずサブアカウントを個別に開いて確認します。ここで拘束されたままの証拠金が、閉鎖後に口座維持手数料の対象になります。

含み益が出ているポジションを「もう少し伸ばしたい」と考える場合、期限が動かないことだけは意識してください。8月26日以降は追加もヘッジもできず、閉じることしかできません。伸ばす判断そのものは各自の裁量ですが、その判断に使える時間は日単位で減っていきます。

板が薄くなる中での執行

閉鎖が近づくにつれ、マーケットメイカーと常用トレーダーは資金を引き上げます。板は段階的に薄くなり、同じ数量の注文が1か月前より大きなスリッページを生みます。執行の方法を変える必要があります。

成行で全数量を流さない

薄い板に大口の成行を当てると、自分の注文が価格を動かして不利な平均約定になります。数量を分けて、板の回復を待ちながら流すほうが総コストは小さくなります。分割の粒度は板の厚みから逆算してください。最良気配から数ティック内に積まれている数量を見て、その範囲に収まる大きさにするのが目安です。

指値で待つ場合の注意

指値のほうが約定価格は有利になりますが、約定しないまま期限が来るリスクを負います。8月26日を過ぎれば縮小しかできず、9月23日には強制決済です。指値で待つなら、約定しなかった場合に成行へ切り替える時刻を自分で決めておいてください。「もう少し良い値で」を繰り返して期限に押し込まれるのが最も高くつきます。

時間帯を選ぶ

流動性が集まる時間帯のほうが板は厚くなります。一般的には主要市場の重なる時間帯です。逆に週末や参加者が少ない時間の大口執行は、平常時でもスリッページが大きく、閉鎖前の環境ではさらに広がります。

執行の原則
  • 全数量を一度に成行で流さない — 分割する
  • 指値で待つなら、成行に切り替える時刻を先に決める
  • 板の厚い時間帯に寄せる
  • 期限に近づくほど、価格より確実性を優先する
  • 約定した平均価格を記録しておく(記録は閉鎖後に取得できません)

執行の巧拙で数%は変わります。しかし期限を過ぎて強制決済になったときの価格は、あなたの選択肢の外にあります。うまく閉じることと、閉じ損なわないことを比べれば、後者が先です。

本サイトの評価

ファンディングと持ち越しコスト

無期限先物では、契約価格を現物価格に近づけるためにファンディングレートが定期的に授受されます。ポジションを持ち越す限り、このコスト(または収入)は発生し続けます。

閉鎖に向けた局面で注意すべきなのは、参加者が減るとこの均衡機構が弱まる点です。契約価格が現物価格から乖離した状態が長引きやすくなり、ファンディングが平常時のレンジを外れることがあります。ロングを持ち越している場合は支払いが想定より膨らむ可能性があり、これは持ち越しの隠れたコストです。

判断としては単純です。期限が決まっている市場でポジションを持ち越す理由は、持ち越しコストを上回る期待がある場合だけです。そしてその期待を実現するための時間は、8月26日で打ち切られます。

記録しておくべき数字
  • 各建玉の平均取得価格と決済価格
  • 期間中に支払った・受け取ったファンディングの累計
  • 強制決済された場合はその約定価格と時刻
  • 決済後にウォレット残高へ戻った金額

これらは閉鎖後に取得できなくなります。プラットフォームが完全に停止すると取引履歴へのアクセスも失われます。CSVでの書き出しがあるなら、出金作業に入る前に落としてください。この記録が何のために必要かは人によって違います(コスト管理、居住国での申告義務など)。当サイトは税務上の取り扱いについて助言できませんが、データは後から生成できないという点だけは共通です。

「ポジションの移行」はできない — 移せるのは資金だけ

検索でこのページに来た方のために明確にしておきます。BitMEXの建玉を別の取引所へそのまま移すことはできません。取引所間でポジションを転送する仕組みは存在しません。できるのは次の流れだけです。

  1. BitMEXで建玉を決済して閉じる(損益が確定します)
  2. 解放された証拠金をウォレット残高として確認する
  3. その資金を出金する
  4. 移行先の取引所へ入金する
  5. 必要なら移行先で新しくポジションを建てる

つまり「移行」と呼んでいるものの中身は、いったん損益を確定させて、別の場所で建て直すことです。価格エクスポージャーを途切れさせたくない場合、理屈としては移行先で先に同じ方向のポジションを建ててからBitMEX側を閉じる、という順序が考えられます。ただしこれは両方の口座に証拠金が必要で、二重の建玉を持つ期間が生じ、その間の値動きで両方に影響が出ます。期限直前の薄い板でこれを試すのは、リスクを減らすつもりで増やす行為になりがちです。当サイトはこの手法を推奨しません。

「代行」を名乗る相手

ポジションの移行や残高の救済を代行すると持ちかけてくる第三者は、例外なく詐欺です。決済は自分の口座で自分が行うものであり、代行の余地がありません。シードフレーズ、プライベートキー、口座のパスワードや二段階認証コードを求められた場合、相手が何を名乗っていても詐欺です。当サイトも代行はできません。

強制決済された場合はどうなるか

間に合わなかった場合、あるいは意図的に待った場合、ポジションはBitMEX側によって決済されます。公式発表では8月26日以降に段階的な強制決済が始まり、9月23日の閉鎖時点で残っているものは即時決済されます。

決済されると、証拠金から損益を差し引いた残額がウォレット残高に戻ります。その残高は通常の残高と同じく出金対象です。つまり強制決済されても資産が消えるわけではなく、決済価格を選べなかったという形で不利を負うだけです。

自分で決済する場合と強制決済の違い
観点自分で決済強制決済
決済価格自分で選べる(指値・成行・分割)選べない
タイミング板の厚い時間を選べる選べない
スリッページ分割で抑制できる抑制できない
記録事前にCSV等を取得できる事後の取得が難しくなる
戻ってくる資金損益確定後の残額同じ(条件が不利になりやすい)

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この表から読み取れるのは、強制決済が「資産を失う出来事」ではなく「条件が悪くなる出来事」だということです。だからこそ待つ経済的な理由がありません。閉鎖に向けて板が薄くなる中での強制決済は、平常時のロスカットより不利な価格になりやすいと想定するのが妥当です。

決済が終わったら、次は出金です。ここから先の手順は独立したページにまとめています。ネットワークの取り違えという別種の事故が待っているので、そのまま続けて確認してください。

よくある質問

BitMEXのポジションを他の取引所に移せますか
できません。取引所間で建玉を転送する仕組みは存在しません。BitMEXで決済して損益を確定させ、資金を出金し、移行先で新しく建てる、という流れしかありません。
いつまでに建玉を閉じる必要がありますか
自分の判断で自由に扱えるのは2026年8月26日 04:00 UTC(日本時間13:00)までです。それ以降は縮小のみで、新規建玉もヘッジも組めません。2026年9月23日の閉鎖時点で残っているものは即時強制決済されます。
8月26日以降にヘッジを組めますか
組めません。反対方向のポジションを建てることは新規建玉に当たり、決済のみモードでは実行できません。値動きが不利に出た場合、できるのは損失を確定させて閉じることだけになります。
強制決済されると資産はなくなりますか
なくなりません。証拠金から損益を差し引いた残額がウォレット残高に戻り、通常の残高と同じく出金の対象になります。失うのは資産ではなく、決済価格とタイミングを選ぶ権利です。
含み損を確定させたくないのですが
心理的には難しい判断ですが、期限は動きません。8月26日以降は縮小しかできず、9月23日には強制決済されます。板が薄くなるほど強制決済の条件は悪くなるため、先延ばしは損失を減らす手段になりません。
大口のポジションはどう決済すべきですか
一度に成行で流すと自分の注文が価格を動かします。板に積まれている数量を見て複数回に分割し、流動性が集まる時間帯に寄せてください。板が厚いうちに処理するほど有利で、後回しにするほど不利になります。
端数はいつまでに整理すればよいですか
8月26日までです。最低出金額を下回る通貨を他の通貨へまとめる操作は取引に当たるため、決済のみモードでは実行できません。この期限を過ぎると端数は口座に取り残され、閉鎖後は口座維持手数料の対象になります。
取引履歴はいつ取得すべきですか
出金作業に入る前です。閉鎖後もしばらくログインは維持されますが、プラットフォームが完全に停止すると履歴へのアクセスも失われます。CSVでの書き出しがあるなら先に落としてください。データは後から生成できません。

出典

数値はBitMEX公式サイトの公表値です。最新の情報は必ず公式サイトで確認してください。